「塗装職人の腕前は、職人が使っている刷毛をみればわかる」
自分がこの仕事を始めたころはこう言われていました
実際に技能検定試験の時によくわかりました
自分が見てもどうかな?って腕前の人の刷毛は毛の減り方が違うんです
一流になればなるほど、刷毛の先は3角形になっていました
そうなるとスミを塗るときにはみ出さずに塗れます
また、そうなるように心がけて刷毛を使う事で自然とそのような形になります
だから刷毛をみれば腕前がわかるのです
その分刷毛の選定には気を使います
コシの強さ、ペンキの含み具合などなど
特に弊社では一人一人が自分専用の刷毛を持っているので、皆の意見を聞き
ながら刷毛を選んでいます
中でも扱いと育てるのが大変なのが「寸胴刷毛」
これが使いやすいように育てられ、かつ自在に操れてこそ職人でした
今でも刷毛の選定には気を使います
メーカーからは「浅葉さんは良い刷毛を選んで使ってくださる」とお世辞も言われた
しかし、ここ数年で環境が変って、刷毛を育てる機会がめちゃめちゃ減りました
その原因は「塗料の高機能化」
塗料にさまざまな機能が加わることで、主剤と硬化剤の組合せで使う2液タイプが
増え、1液タイプでも乾燥時間が早くなったり、希釈は塗料用シンナーだけど洗浄
は強溶剤というのが多くなりました
これらの塗料を使うのに刷毛を使っていると、使用後に刷毛が洗浄しきれずに刷毛
の芯に残った微量な塗料が硬化してしまい、その刷毛が使えなくなるということが
起きています
結果として、刷毛を使いやすく育てることそのものが難しくなり、必然的にローラーで
施工することが増えてきます。
刷毛を使い捨て感覚で使っている業者もいるようです。
他の業者が作業しているのを見かけると、刷毛の持ち方すらなっていない作業員
をよく見かけます(刷毛も満足に持てない者を職人とは呼べません)
果たしてきちんとした仕事が出来ているのか?他人事ながら心配になります
塗装職人にとって刷毛は全ての基本
「刷毛が使えてローラーも使う」が当たり前で「ローラーで塗れないから刷毛を使う」
は職人としては間違っていると自分は思います。
まわりがどんなに変っても、弊社は刷毛を選ぶことに手を抜くことは絶対にしません
生涯、職人でいたいですからね